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メモリーをバックアップして、サーキットテスターで暗電流を測定
メモリーバックアップやジャンプスターターのバックアップ機能を使用

暗電流とは?

暗電流とは、イグニッションスイッチがOFFの状態でも、時計やカーナビ、ECUの学習メモリーの保持のために常時流れている待機電流のことです。最近の車はスマートキーやセキュリティー、ドライブレコーダーなどの電装品により、暗電流が高くなる傾向にあります。
暗電流はバッテリーから常時消費されていますので、あまり乗らない車や、電装品の不具合で多量に流れてしまっている場合、バッテリー上がりの原因となります。
正常な暗電流値を把握したうえで、定期的に測定しておくと安心です。

■バックアップ機能を使用するメリット

サーキットテスターで暗電流を測定するには、アース線とバッテリー端子の間にテスターを直列につなげる必要があります。単純にアース線を外してテスターを直列につなげれば測定はできますが、アース線の端子を外した瞬間に車両メモリーは消えてしまいます。
そこで、メモリーバックアップやジャンプスターターのバックアップ機能を使用すれば、アース線を外してもメモリーは消えませんので、サーキットテスターで簡単に暗電流の測定ができます。
通常車両バッテリーの電圧は約12.6Vであるのに対して、この記事で紹介するカイセのメモリーバックアップ(型式:KG-150)は電圧が12.0Vと低いため、暗電流の測定値に影響を与えません。

■車両メモリーの消去とは?

バッテリーの配線を単純に外してしまうと、電装品に常時供給されていた電源が遮断されてしまうため、メモリーが消去されてしまいます。時計やカーナビの設定が消えるだけではなく、アイドリングが不安定になったり、燃費の悪化、パワーウインドウやアイドリングストップ機能などに不具合が発生することがあります。

■使用するテスター

100mA以下の直流電流が測定できるサーキットテスターを使用します。
この記事では、カイセのサーキットテスターを使用しています。

デジタルサーキットテスター(型式:KU-2600)

■使用するメモリーバックアップ

この記事では、カイセのメモリーバックアップを使用しています。

メモリーバックアップ(型式:KG-150)

バックアップ機能付きのジャンプスターターでもOKです。

ジャンプスターター(型式:KG-106/106C)

バッテリーターミナル接続でバックアップする場合は、別売変換ケーブルを使用します。

バッテリークリップ変換ケーブル(型式:808)

測定方法

OBDⅡ接続によるバックアップ

  • ❶エンジンを停止して、ルームランプやヘッドライトなどの電装品がOFFになっていることを確認します。エンジン停止直後は電流が多めに流れているため、15~20分程度放置します。
  • ❷車両とケーブルコネクターをOBDⅡ接続して、コネクター部の赤色LEDが点灯するか確認します。
    ※点灯しない場合は、車両OBDⅡに電源がありませんので、バッテリーターミナル接続によるバックアップ(次項参照)を行ってください。
    ※OBDⅡ接続によるバックアップが禁止されている車両も、バッテリーターミナル接続でバックアップしてください。
    LEDの点灯を確認している写真です
  • ❸メモリーバックアップの電源を入れて、ケーブルを接続します。この状態でメモリーのバックアップは完了です。
    メモリーのバックアップ完了の写真です
  • ❹サーキットテスターのスイッチを「A」に合わせて、黒のテストプラグを「COM」へ、赤のテストプラグを「10A」へ差し込みます。
    ※万が一大きい暗電流が流れていた場合、「mA」レンジではテスターのヒューズが切れてしまう恐れがあるため、まずは大きいレンジ(Aレンジ)で測定しましょう。
    サーキットテスターのスイッチをmAに合わせて、赤・黒プラグを差し込んでいる写真です
  • ❺バッテリーのマイナスターミナルのナットをゆるめてアース線を外します。アース線を外しても、メモリーバックアップから電源供給されるので車両メモリーは消えません。
    バッテリーのアース線をは外している写真です
  • ❻赤テストリードをターミナル端子に、黒テストリードをバッテリーのマイナス端子に接触させると、暗電流の測定値が表示されます。
    測定値は0.025A(25mA)となりましたが、このテスターはAレンジの確度が「±2.5%rdg ±4dgt」であるため、読み値(rdg)に±2.5%、さらに最少桁(dgt)に±4の誤差が有り得ることになります。
    mAレンジでより正確な測定をしてみましょう。
    ※mAレンジの回路は0.5A/250Vのヒューズで保護さています。Aレンジの測定値が0.5Aを超える場合は、mAレンジで測定するとテスターのヒューズが切れる恐れがあります。
    測定値が表示されている写真です
  • ❼サーキットテスターのスイッチを「mA」に合わせて、赤テストプラグを「mA」へ差し替えます。
    スイッチとテストプラグを差し替えている写真です
  • ❽再度、赤テストリードをターミナル端子に、黒テストリードをバッテリーのマイナス端子に接触させて測定値を確認します。こちらの数値がmAレンジの測定値です。mAレンジの確度は「±2.0%rdg ±4dgt」で読み値(rdg)に±2.0%、最少桁(dgt)に±4の誤差が有り得ますが、Aレンジよりも正確な測定ができました。
    ※OBDⅡ接続コネクターの赤色LEDが点灯しているため、測定値が5mA程度高くなります。正確な値は表示値から5mA引いた値となります。
    測定値が表示されている写真です
  • ❾測定終了後は、マイナスターミナルをバッテリー端子に挿入してナットをしっかりと締めます。
  • ❿サーキットテスターとメモリーバックアップの電源をOFFにして、車両のOBDⅡ接続を解除します。

■測定結果

  • 30mA未満:正常値です
  • 30mA以上:高めの値です

    ※電装品の多い車でなければ、何か原因があるかもしれません。

  • 100mA以上:異常の可能性あり

    ※バッテリーが上がりやすい状態ですので、原因を探る必要があります。

バッテリーターミナル接続によるバックアップ(別売変換ケーブルを使用)

  • ❶エンジンを停止して、ルームランプやヘッドライトなどの電装品がOFFになっていることを確認します。エンジン停止直後は電流が多めに流れているため、15~20分程度放置します。
  • ❷あらかじめバッテリーターミナルのナットをゆるめておきます。
  • ❸バッテリーの極性に注意して、バッテリークリップ変換ケーブルの赤色クリップをプラスターミナル端子に、黒色クリップをマイナスターミナル端子に接続します。外れないようにしっかりとクリップしてください。
    ※プラスとマイナスを逆に接続してしまっているとショートの恐れがあります。逆接続でないか再度確認してください。
    バッテリーにクリップを接続している写真です
  • ❹メモリーバックアップの電源を入れて、ケーブルを接続します。この状態でメモリーのバックアップは完了です。
    メモリーのバックアップ完了の写真です
  • ❺バッテリーのアース線を外します。アース線を外しても、メモリーバックアップから電源供給されるので車両メモリーは消えません。
    バッテリーのアース線をは外している写真です
  • ❻OBDⅡ接続によるバックアップと同じ手順で、まずはAレンジで測定を行い大きな暗電流が流れていなければmAレンジで測定します。
    測定値が表示されている写真です
  • ❼測定終了後は、マイナスターミナルをバッテリー端子に挿入してから赤・黒クリップを外して、ナットをしっかりと締めます。
  • ❽サーキットテスターとメモリーバックアップの電源をOFFにします。

■測定結果

  • 30mA未満:正常値です
  • 30mA以上:高めの値です

    ※電装品の多い車でなければ、何か原因があるかもしれません。

  • 100mA以上:異常の可能性あり

    ※バッテリーが上がりやすい状態ですので、原因を探る必要があります。

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