ハイブリッド車モーターの低抵抗測定
測定の目的
ハイブリッド車および電気自動車において、故障コードP0A78(モーターインバータ機能異常)を検出した際の点検工程に、駆動モーターおよびジェネレーターの低抵抗測定を行う項目が含まれます。
モーターの温度が高温であると抵抗値は大きく変わるため、車両停止後、最低8時間放置した後に測定を行います。(プリウスの場合)
※詳細は各車両の整備マニュアルをご確認ください。
■使用するテスター
一般的なサーキットテスターによる抵抗測定では、配線抵抗や接触抵抗によって誤差が生じてしまうため、低い抵抗値を測定可能な4端子式の専用機が必要です。
この記事では、カイセの低抵抗計を使用しています。
測定方法(例:プリウス20系のモーター)
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❶サービスプラグを外してHVバッテリーと高電圧回路を遮断します。※サービスプラグを取り外した後にREADY ONにすると不具合が発生する可能性があるため、絶対にREADY ONにはしないでください。
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❷インバーターカバーを取り外します。
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❸インバーターからモーターの三相交流ケーブルを取り外します。
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❹ミリオームテスターの測定レンジを400mΩに合わせます。
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❺ミリオームテスターのゼロ調整を行います。プローブの先端をショートした状態で測定をオンにして“0Ω調整キー”を押します。
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❻モーターケーブルの端子に測定プローブをクリップして、U-V間、V-W間、W-U間の低抵抗測定を行います。
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❼テスターに測定値が表示されます。
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❽温度による測定値の変化を補正するために、測定値を下記の式に当てはめて、20℃の時の低抵抗値を計算します。
R20=Rt÷(1+0.00393×(T-20))
●R20:20℃の時の低抵抗値(mΩ)
●Rt:測定値(mΩ)
●T:測定時の温度(℃) -
❾20℃の時の低抵抗値(U-V間、V-W間、W-U間)がそれぞれ、135mΩ以下であれば基準値です。
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❿さらに、U-V間、V-W間、W-U間の低抵抗値の差を計算して、2mΩ以下であれば基準値です。
■測定結果
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135mΩ以下&各端子の差が2mΩ以下:基準値です
※詳細は各車両の整備マニュアルをご確認ください。