バッテリー電圧の測定方法
測定の目的
鉛バッテリー内部は6つのセルに分かれており、1セル約2.1Vの鉛電池が6つ直列に繋がれているため、満充電で約12.6Vが得られるようになっています。バッテリーが弱っていると12.5V以下に低下する場合があるので、定期的な点検でバッテリートラブルを予防することができます。
問題は、劣化したバッテリーでもエンジン停止状態で12.6V程度の電圧が出てしまうケースが多々あることです。正確な劣化診断はバッテリーチェッカーをご使用ください。
■エンジン始動後の測定でオルタネーターの発電状態もチェック
エンジン停止時に約12.6Vであったバッテリーが、エンジン始動後に電圧がどれくらい上昇するかで、オルタネーターの発電状態をチェックできます。
エンジン始動後でも電圧の上昇があまり無ければ、オルタネーターの発電量は不足ぎみであり、オルタネーターやベルト類の不良が考えられます。
(充電制御車ではオルタネーターが発電していない場合があるので注意が必要です)
逆に電圧の上昇が大きすぎれば、オルタネーター内で電圧を一定に制御しているレギュレーターの不良が考えられます。例えばバッテリーケースが膨張するトラブルが発生した場合、レギュレーター不良による過電圧の可能性があるので、エンジン回転時のバッテリー電圧を測定することでチェックできます。
■使用するテスター
直流12V強が測れるテスターであれば、サーキットテスターや電圧測定のできるクランプメーターで測定できます。
デジタルサーキットテスター(型式:KU-2600)
クランプメーター(型式:SK-7661)
この記事では、カイセのデジタルサーキットテスター KU-2600を使用しています。
■バッテリーの劣化を正確に測定するには
CCAテスターでバッテリーのCCA値を測定することで、正しい劣化状態を確認できます。
バッテリーチェッカー(型式:SK-8535)
バッテリーチェッカー(型式:SK-8550)
測定方法
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❶イグニッションOFFであることを確認します。
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❷サーキットテスターの電源を入れてスイッチを直流Vに合わせ、テストリードの赤プラグをV端子に、黒プラグをCOM端子に差し込みます。
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❸バッテリーの+端子に赤テストリードを、-端子に黒テストリードを接触させます。
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❹サーキットテスターにバッテリー電圧の測定値が表示されます。
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❺エンジンを始動して、回転数を2000~2500rpm程度にします。
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❻この状態で測定値を確認します。
■測定結果
エンジン停止時
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13V程度:走行直後で高めの値が出ています
※この場合はエンジン停止状態でヘッドライトを10~30秒点灯後オフにして、電圧を安定させてから測定してください。
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12.6V程度:正常値です
※正確な劣化の判断はバッテリーチェッカーをご使用ください。
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12.5V以下:低めの値です
※バッテリーが弱っている可能性があります。(アイドリングストップ車、充電制御車では、12.4V以下に電圧を制御している場合があるので注意が必要です)
エンジン回転時
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16V以上:過電圧です
※レギュレーター故障の可能性があります。この状態ではバッテリーや電装品が故障する恐れがあります。
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13.5V~14.7V:正常値です
※オルタネーターは正常に機能しています。
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13V未満:発電量が不足しています
※オルタネーターの故障や回転ベルトに不具合の可能性があります。